結論から言う。
私の内見数は10件以下だ。マンションは一度も内見していない。ネットで半年近く物件調べ続け、気に入った物件に出会ったその翌日には契約した。
我ながら、あまり参考にならない買い方かもしれない。だが、これが私のリアルだ。
Phase1:自分が借りられる額を確認する
物件を探す前にやったことがある。
自分がいくら借りられるのかを確認した。
感情より先に数字だ。予算の上限が決まらなければ、何を見ても意味がない。年収・勤続年数・既存の借入をもとに、借入可能額の目安を出した。その額を絶対に超えないという前提で、探し始めた。
Phase2:SUUMOとLIFULLで半年間、情報収集
最初に見たのはSUUMOだ。賃貸物件を探すときも誰もが一度はここを見るだろう。
最初は知識がまったくなかった。金利とは何か。固定と変動の違いは何か。諸費用はいくらかかるのか。物件を眺めながら、並行して住宅ローンと不動産選びの基礎を勉強した。
この期間、内見は一度もしていない。気になったマンションの周辺を歩いてみた程度だ。西日暮里のマンションが候補に上がったことがあった。現地まで足を運んだ、内見はしなかった。
次にLIFULL HOME’Sを使い始めた。SUUMOと並行して、より広い範囲で物件を見るようになったが、夢だけが膨らんで行く一方でその先へ進めなかった。
情報収集の過程で、不動産エージェントサービス「テラス」にも登録した。エージェント2名とチャットでやり取りをした。ただし物件紹介には至らなかった。こうしたエージェント型のサービスは、買主の味方として動いてくれる点が特徴だ。使い方次第では有効な選択肢になる。
この半年間は情報収集と知識習得の期間だと割り切っていた。2024年中に買うつもりは、まだなかった。
Phase3:”例のあの会社”から電話がかかってきた
物件情報を漁る過程で、不動産会社に電話番号を登録したことがある。夜遅くにあの会社の物件について資料申し込みをすると、その翌日朝9時ピッタリに営業から電話がかかってきた。
軽いヒアリングを受け、予定が空いていたのでその日の午後、直接行くことにした。私はこういったものにはとにかく腰が重い気質だが、たまたま気が向いた。
そこで初めて戸建てを勧められた。マンションを探していたはずが、気づけば戸建ての話を聞いていた。不動産価格指数のグラフを見せられたのはこのタイミングだ。過去の記事で書いた話だ。
その日のうちに動いた。
- 戸建て内見:2件
- 土地のみ見学:2件
翌日も続いた。
- 建築中物件:2件
- 現在の家の周辺:見学
一日で複数件を回るのが不動産営業のやり方だ。比較させることで判断を促す。
わかっていても、実際に物件を見ると感覚が変わってくる。周辺環境を実際に訪れることは大変重要だ。事前に住むことはできなくとも、訪れてみてなんとなく肌感でここは違うと思った土地にはなぜだか興味が沸かないものだ。
Phase4:いったん中断、そして再開
その後一度、物件探しを中断した。
2024年中に買うつもりはなかった。気になる物件はあったが、金利の動向も気になっていたし、まだ決断できなかった。なにより欲しいと思える物件はすべて予算外。妥協点を探していた。
しばらくして、気になる物件が出てきた。再度例のあの会社に問い合わせた。資料だけが欲しかったが、新たな担当者からの電話は私が諦めて出るまで何度でもかかってきた。
新しい担当者から別の物件を2件紹介された。アポ取り→内見→営業(圧力)。そのスピードとパワーに圧倒されたが、納得のできる物件はなかった。
そして翌日、現在の家を紹介された。SUUMOなどにはまだ乗っていない、半年間住みたい区を絞り、物件を探していた私から見てすぐに良い条件だと分かった。
Phase5:深夜…終電を逃しての交渉
現在の家を見た。平日の仕事終わり。時刻は20時を過ぎていた。
周辺の商業施設が気に入った。それが決め手だった。数字で検討し、条件を整理し、最後は自分の目と感覚で判断した。
しかし、おそらく人生最初で最後の最大の買い物だ。失敗すれば私の人生は大きく傾く。はいはいと「買う」とは言えなかった。値段交渉を続け、その日の商談は深夜まで続いた。
交渉の末、ローン仮審査(銀行ではなく、不動産会社の内部事前審査)を申し込み、手付金を払うべくATMへ足を運んだ。
無事仮審査も通過し、手付金の振り込みも確認され、申し込みを行った。気づけば終電の時間を逃していた。(もちろんタクシー代は後日清算された)
例のあの会社の営業の動きは鬼気迫るものがあった。
アクションのスピード、ローン担当と物件営業の入れ替わり立ち代わり畳み掛けるような連携された提案、契約までの圧力。プロの仕事だと思った。ただ流されたわけではない。だが、あの速度感がなければ、私は賃貸物件を更新し、いまだに悩んでいたかもしれない。
Phase6:翌日、契約。そして本審査へ
翌日も退勤後すぐに例のあの会社へ足を運んだ。契約という儀式が待っていたのだ。
宅建士との面談形式で、契約内容と重要事項説明書(所謂、重説)の説明を受ける。特に問題はなかったが、説明は質疑を含めおよそ2時間に及んだ。
今後の段取りについても説明を受け、晴れて契約が完了した。
一点だけ正直に書いておく。”例のあの会社”はネット上の評判はお世辞にも良いとは言えない。柱が細い、アフターサポートが薄い、施工品質への懸念、建蔽率が高く隣家と近い。調べればいくらでも出てくる話だ。
知っていた。買った後で知ったわけではない。
それでも選んだ理由はシンプルだ。**立地と間取りに対して、価格が最も魅力的だった**予算内に収めるために、他は目をつぶると判断した。不動産は立地がすべてだという思いはこの頃から揺るぎなかった。
購入後の話にはなるが、Geminiに意匠図を見せて確認した。品質に問題はないという判断だった。それで十分だと思っている。
物件と会社に対して幾分疑心暗鬼のまま契約したのは事実だ。だがリスクを把握した上で選んだ選択は、知らずに選んだ選択より誠実だと私は考えている。
私が家に求めた条件——リセールバリューから逆算する
家を買うとき、私は「売れる家かどうか」を常に意識していた。
住み続けることが前提でも、出口戦略は最初から考える。それが私のやり方だ。
一般的にリセールバリューが高いとされている条件と、私自身がこだわった要素、そして目をつぶった要素を整理する。
一般的な強い買い条件
立地・交通
| 条件 | 目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 駅徒歩 | 10分以内 | 10分超で資産価値が明確に落ちる。7分以内が理想 |
| 路線 | 複数路線・主要駅へのアクセス | 乗り換えなしで都心に出られるかが価値を左右する |
| 前面道路幅員 | 4m以上 | 4m未満は再建築時に問題が生じるケースがある |
物件スペック
| 条件 | 目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 戸建て面積 | 70㎡以上 | ファミリー層への売却・賃貸を想定した最低ライン |
| マンション面積 | 55㎡以上 | 55㎡未満は住宅ローン利用者が限定される場合がある |
| 権利形態 | 所有権 | 借地権は売却時に買い手が限定される |
| 耐震基準 | 2000年基準以降 | 旧耐震は売却時に買い手がつきにくい |
周辺環境
| 施設 | 重要度 | 備考 |
|---|---|---|
| スーパー・コンビニ | ★★★ | 徒歩5分圏内が理想 |
| 保育園・小学校 | ★★★ | ファミリー層への売却を見据えると必須 |
| 公園 | ★★☆ | 子育て世帯に刺さる |
| 病院・クリニック | ★★☆ | 内科・小児科が近いと評価が上がる |
| 交番 | ★★☆ | 防犯面・治安の指標になる |
| 商業施設 | ★★☆ | 生活の豊かさに直結 |
避けるべき条件
| 条件 | 理由 |
|---|---|
| 旗竿地 | 接道が狭く売却時に買い手が限定される |
| 高圧線・鉄塔の近く | 心理的瑕疵として価格を下げる |
| 嫌悪施設の近隣 | 墓地・工場・処理場等。資産価値への影響大 |
| 南側に高い建物 | 日当たりが恒久的に失われるリスク |
| 私道負担あり | 将来の建て替えに複雑な問題が生じやすい |
| 借地権 | 土地を所有できない。割安にはなるが売却価格にも影響し、買い手が限定される |
私がこだわった条件
駅徒歩8分以内: 10分は超えたくなかった。将来売却する際の買い手の幅が、この数字で変わる。
所有権であること: 借地権は土地を所有できない。どれだけ建物が良くても、土地が残らない選択肢は私には合わなかった。記事3で書いたマンション不要論と同じ文脈だ。
周辺の商業施設・雰囲気: 再開発が計画されている地域に絞って手ごろな駅を探した。数字では測れないが、実際に訪れ歩いて確かめた。必要なものをストレスなく調達できるか、生活していて心地よいかどうか。最後はそこだった。静かなくらしがイメージできた。
ハザードマップ: 昨今の異常気象により、河川の氾濫や道路が陥没がニュースになることも多い。家もマンションも強固な地盤あってのもの。河川の近くや埋め立て地は徹底的に避けた。価格には影響するがリセールバリューにも影響してくると考え、土地選びの条件としてこだわった。
私が目をつぶった条件
完璧な物件は存在しない。
無限に予算があるのなら話は別だが、現実は予算の中で何を選び、何を諦めるか。それが不動産購入の本質だと私は思う。
例のあの会社の評判以外に私が諦めたのは以下だ。
前面道路の幅員: セットバック済みではあるが、それでもなお4mに満たない。一般的には▲5〜15%の査定影響があるとされる条件だ。
ただし、生活上の支障は今のところない。2tトラック程度なら通過できるし、駐車場は一見狭いが、サブリースは借り手が尽きることはない。需要が供給を上回っていると判断している。
周辺の同スペック物件は当時7000〜8000万円台だった。私の物件価格は6800万円だったので、それらを完全に下回っていた。個人的には前面道路の狭さが、安さの主な根拠だと思っている。あの会社というビルダーの特性もあるが、立地と価格のバランスは納得できるものだった。
付近の私道は昔の基準で狭いが、今後のセットバックに期待したい。セットバックについては知らない人も多いだろうが、戸建てを検討している場合重要な知識だ。これも別途話す。
耐震等級1: 木造戸建ての標準グレードだ。等級3が理想とはされるが、新耐震基準・2000年基準は満たしている。許容範囲だと、妥協点であると容認した。できれば鉄骨・鉄筋で建てられた堅牢な家が良いが、そんな家は予算内で探し続けても見つかることはないと知っていた(坪単価が木造の倍になるらしい)。
断熱等級4: 現行基準での最低ライン。建売で既に完成寸前であったため、グレードアップは一旦諦めた。自治体の補助金で割と安価でグレードアップができると聞いたことがある。断熱材も劣化してくるというので将来的に検討する。実際に住んでみると、冬は相応に寒い。これは別の記事で詳しく書く。このグレードのリアルと防寒対策についてネタにするつもりだ。
景観: 私の物件探しはタワーマンションからの豊洲を一望できる景観に憧れを覚えたことがきっかけだ。今の家は3階建てとはいえ同程度の高さの住宅に囲まれた住宅街の中にある。悪い景色ではないが、ある程度の陽当たりさえあれば、生活への支障はなく、価値には触らない。将来夜景を見られる高層マンションや、青い海が見えるログハウスに住む将来もまったく諦めたわけではないが、今回はそうした。
完璧な物件を待っていたら、いつまでも買えない。リセールバリューを意識しながら、妥協点を自分で決める。それが私の出した答えだ。
振り返って思うこと
| 項目 | 実態 |
|---|---|
| 情報収集期間 | 約半年 |
| 使ったサイト | SUUMO・LIFULL・例のあの会社 |
| エージェント | テラスに登録・チャットのみ |
| マンション内見 | 0件 |
| 戸建て内見 | 約9件(うち、6件は建築中のため外観のみ) |
| 契約までの期間 | 再開から数日 |
| こだわった条件 | 駅徒歩・所有権・周辺環境 |
| 目をつぶった条件 | 前面道路・耐震等級・断熱等級 |
| 決め手 | 周辺環境・立地・価格のバランス |
内見数は少ない方のはずだ。即断に近い買い方だろう。一般的に推奨される「複数物件を比較検討」とは程遠い。
だが半年間の情報収集と知識習得があったから、判断できた。準備と決断は別のフェーズだ。準備に時間をかけて、決断は速くていい。気に入った物件は他の者にとっても当然好条件である場合が多い。
余談だが、良い物件は内見もせずに売れていくそうだ。もちろんこれも営業トークかもしれないが、現に私が買った家は平日夜にも関わらず内見希望者が他にも来ていた。競争意識が働いて契約を決断したというのは正直言って、ある。
あの日、終電前に「今日はこれで失礼。」と去ろうとしていたら、さらに値下げがされたのか、私の後に見学に来ていた別の客に買われていたのか。それはわからない。
さらに余談だが、過去に賃貸を探しているときに数分の差でお目当ての物件が先に取られてしまったこともあった。いつまでも不動産情報サイトに載ったままの物件は、おとり物件なのか、不相応な値段設定、あるいは何かしらの買いにくい条件があるのだと思う。
これから物件を購入する方には、相手との関係性を壊さない範囲で、強い意志を持って、冷静に、粘り強く交渉することをお勧めする。
契約を終え、ほっとしたのも束の間。翌週にはローンの事前審査向けの書類を集め、先述したようにローンを組む銀行の選定に毎日頭を悩ませていた。
次の記事では、購入前後でかかった諸費用のリアルな全明細を公開する。



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