#12 「ペンシルハウス」の分析

3階建て,建売,狭小住宅(ペンシルハウス), オープンハウス(OPENHOUSE) ”例のあの会社”

私の家は建売だった。契約時にはほぼ完成しており当然、間取りは好きに変更できない。

それでも買った。文句を言う気はない。選んだのは私だ。ただ、現実は正直に書く。


この家のスペック

まず数字を提示する。

項目数値
敷地面積約66㎡(約20坪)
延床面積約116㎡
構造木造3階建て
間取り4LDK+車庫
土地の形状長方形

簡易なもので実態とはかけ離れているが間取り図を載せる。リアルな間取り図は後日載せる。

1階に車庫・水回り・筋トレ部屋。2階にLDK。3階に寝室と洋室2室。この縦の積み重ねが、この家のすべてだ。 間取り図 3階建て戸建て

Floor Plan / 間取り図

新築戸建て 3階建て 4LDK+車庫

敷地面積
65.94㎡
建築面積
43.65㎡
延床面積
116.21㎡
建蔽率
66.19%
容積率
162.84%
最高高さ
9.43m
1F — 玄関 / 空き部屋(筋トレ部屋) / 水回り / 車庫
車庫 9.15㎡ シャッター 玄関 ホール 階段 収納 トイレ 洗面 浴室 1616 BR1 寝室 8.76㎡ ▲ 道路側 1F
2F — LDK / トイレ / バルコニー
バルコニー LDK 33.41㎡ キッチン 階段 トイレ PS/DS 2F
3F — 洋室×3 / ホール / 収納 / バルコニー
バルコニー BR4 8.37㎡ BR3 7.58㎡ BR2 9.71㎡ ホール 収納 階段 CLO CLO CLO 3F

※ 本間取り図は概略図です。実際の寸法・形状とは異なる場合があります。
※ 数値は参考値です。登記上の面積とは異なります。
※ 東京23区内・新築・木造3階建て・2025年入居。


第一印象は——ペンシルハウスというほどではない

「狭小住宅」と聞くと、いわゆるペンシルハウスを想像する人もいるだろう。15坪以下や変形地の土地に細長くそびえ立ち、いかにも窮屈そうな外観の家だ。

私の家はいわゆる都内の狭小住宅の定義には当てはまらないが、ペンシルハウスの定義にはギリギリ当てはまる。見た目も住み心地も、そこまで狭いという感覚はない。約20坪という土地の広さは、都心の住宅街では標準的な水準に近い。「狭小」という言葉のイメージより、実態はずっと普通だと思った。

もちろん一人で住んでいるからだ。狭いと感じることなどあるわけがない。

ただし、3階建て特有の現実はある。それを順番に書いていく。


3階建てであることのメリット

先にメリットを書く。正直な記事にするためだ。

都心の立地を手に入れられる。 これが最大のメリットだ。同じ予算で広い土地を郊外に買うか、狭い土地を都心に買うか。私は後者を選んだ。23区内・駅徒歩圏という立地は、狭小であることの代償として十分すぎる価値がある。

都内で4部屋取れている。 これは強い。都心で4LDKを確保しようとすれば、立地によってはマンションでも戸建てでも億を超える物件もある。3階建て狭小住宅という形態だからこそ、この間取りが成立している。

3階の採光・眺望が確保できる。 住宅街に建っていても、3階は周囲の建物の影響を受けにくい。3階建て住宅は上方の階で光や風を取り込みやすく、密集地でも快適な家づくりができる。実際、3階の寝室は陽当たりが良く、住宅街の中でも開放感がある。

駐車場が敷地内にある。 都内で駐車場を別途契約すると月2万円台はかかる。35年で計算すれば相当な額だ。それが不要なのは純粋なメリットだ。

フロアごとに用途が分かれる。 1階を水回り・車庫、2階をLDK、3階を寝室と個室に分けることで、生活にメリハリが生まれる。プライベートと生活空間の線引きが自然にできる。

水害に強い。 状況にもよるが、万が一水害が発生した場合でも避難できるだけでなく、家財や貴重品を上階に置いておけば浸水被害を減らせる。都市型の水害リスクを考えると、これは実質的なメリットだ。

トイレが2つある。 1階と2階にある。来客時や家族が増えた場合に非常に便利だ。

構造が頑丈だ。 これは意外と知られていない。木造3階建て住宅を建てる際には、建築確認申請書に構造計算書を添付することが義務となっている。構造計算は、自然災害などに対してどれだけ耐えられるか、建物の耐久性・耐震性を数値化したものだ。一方で木造2階建て以下の住宅については構造計算書の添付が免除されている。

つまり3階建ては法律上、2階建てより厳しい審査を経て建てられている。木造3階建ての耐震性を不安視する声もあるが、2階建てに比べて厳密な構造計算が行われるため、むしろ安全性が高いともいえる。ただしこの構造計算や準耐火仕様に対応するための部材・工法のコストが建築費に上乗せされるため、同規模の2階建てより建築費は高くなる場合がある。固定資産税への影響も含めた詳細は別の記事で扱う。


3階建てであることのデメリット——階段という存在

本題に入る。

3階建ての構造的な問題は、すべて「階段」に帰結する。

LDKが2階にある生活動線について、現在の私には不自由はない。

65歳の両親が数泊していったが特に問題はなかった。むしろ私より縦横無尽に家を動き回っていた。

だが冷静に考える。70代ではまだ耐えられるかもしれない。80代ではどうなる?毎日1階から3階を往復するのは現実的じゃあないのではないか。狭小住宅の階段は決して緩くない。比較的急な造りだ。

掃除が2〜3倍の手間になる。 マンションなら各部屋へフラットに移動できる。この家では階段を挟む。掃除機を持って1階から3階まで上がる。そして階段自体も掃除が必要だ。私の体感では、掃除にかかる時間と労力は1LDKの頃の3倍だ。

荷物の搬入が困難になる。 3階建ての階段は幅が狭い。大型家電や家具を上階へ運ぶ際に搬入できないケースが出てくる。私も実際に冷蔵庫とキッチン棚で痛い目を見た。クレーン車と吊り上げ作業で合計7万円以上の追加費用が発生した。詳細はこの記事に書いている。

転倒リスクがある。 階段は急だ。荷物を持って上り下りするとき、一瞬の判断ミスが事故につながる。これは日常的なリスクとして意識している。

居住できないスペースが間取りを圧迫する。 階段は床面積を食う。その分、各部屋が狭くなる。延床面積116㎡と聞けば広そうに聞こえるが、実態として各部屋は4〜5畳程度だ。

夏は冷気が、冬は暖気が逃げる。 暖かい空気は上昇する性質があるため、夏は3階が暑く、冬は1階が寒くなりやすい。私は仕切りカーテンで対策を講じている。断熱等級4級の感想や、断熱対策などについては次の記事で詳しく書いている。

階段のある家に住む者は足腰が丈夫であり、死亡リスクも下がるというデータは事実あるらしい。健康長寿の観点では階段のある家が良いはずだ。だが、永住には適さない。

私はこの家を、将来の永住先として買っていない。身体の自由がきかなくなる頃には、老人ホームか生活動線が1階で収まる家へ引っ越す前提で購入した。出口戦略は最初から持っていた。


夜中のトイレ問題

これは見落とされがちだが、実は深刻だ。

寝室は3階にある。トイレは1階と2階だ。夜中にトイレに行きたくなれば、寝ぼけた状態で急な階段を下りることになる。

今は若いから問題ない。だが年をとると頻尿になると聞く。毎晩1〜2回トイレに起きるようになったとき、3階から毎回降りるのは相当な負担だ。

これは正直、大きなデメリットだと感じている。


固定資産税について

「狭小住宅は固定資産税が安い」という話を耳にすることがある。これは半分正しく、半分は誤解だ。

土地が狭い分、土地にかかる固定資産税は確かに安くなる。しかし建物にかかる固定資産税は床面積に応じて計算される。3階建ては延床面積が増える分、建物の税額は2階建てより高くなる傾向がある。さらに前述の通り、構造計算が必要な準耐火仕様の部材を使用することで建物の評価額自体が上がるケースもある。

トータルで見れば、同じ立地の広い土地と比較して有利になる場合が多いが、「3階建てだから税金が安い」という単純な話ではない。

固定資産税はまだ通知が来ていないが、届いたら内容を公開したいと思う。


「20畳LDK」というトリック

2階のLDKは20畳だ。戸建てでもマンションでも都内の住宅としては広いという印象を与える。

だが実態を正直に言う。

この20畳は、キッチン・リビング階段・トイレへの通路を含めた長方形の数字だ。土地が長方形の20坪という形状上、LDKも縦長になる。正方形のリビングなら感じるであろう解放感が、縦長では生まれにくい。1階3階に挟まれたリビングは天井もやや低めに設定されている。

3〜4人までの家族で過ごすには問題ないと思う。だが子どもが元気いっぱい走り回れる広々とした空間かと問われれば、そうではない。

総床面積116㎡あっても、3階建ての場合、「広い一続きのスペース」は存在しない。これが3階建て狭小住宅の、ペンシルハウスの現実だ。


庭・バルコニーという名の幻想

庭はほぼない。

家の周りは大人一人がやっと通れる幅しかない。バルコニーも同様だ。洗濯物を干すか、エアコンの室外機を置くためのスペースでしかない。住宅街の真ん中で見通しも良くないため、バルコニーでくつろぐという発想すら生まれない。

子どもがバットやクラブを素振りできるような外のスペースは、駐車場以外には存在しない。


それでも私はこの間取りを受け入れた

一人暮らしにも、子育て環境としても、この間取りを強くおすすめできない。

それは最初からわかっていた。

私は一人暮らし、あるいはDINKS前提でこの家を選んだ。もし子どもを授かることになったとしても、最大でも2人という考えのもとこの間取りを受け入れた。

子どもと過ごせる時間は意外と短いとも言う。子どもに与える部屋は、テレビと勉強机とベッドのスペースさえあればいいのか。それとも最低でも6畳以上の部屋を与えてやりたいのか。その分リビングを削るのか。郊外の広い家を選ぶのか?

何を優先するか。すべては価値観の問題だ。

私の価値観は、居住空間として戸建てを選択し、気に入った街都心の立地と合理的なコストを優先することだった。その結果がこの家だ。


狭小住宅3階建て メリット・デメリット まとめ

内容
メリット都心立地を予算内で確保できる
都内で4部屋確保できる
3階は採光・眺望が良い
フロアごとに用途を分けられる
水害リスクに対応しやすい
構造計算が義務付けられており頑丈
駐車場付きなら月2万円超の駐車場代が不要
デメリット階段による生活動線の複雑化
掃除・家事の手間が増える
荷物・大型家具の搬入が困難になる
老後の上下移動が負担になる
各部屋が狭くなりやすい
夜中のトイレに不便
1階の日当たりが悪くなりやすい
外壁メンテナンスに足場が組みにくい
建築費・固定資産税(建物部分)が高くなる場合がある

これらを把握した上で選ぶのと、知らずに選ぶのでは、住んだ後の納得感がまるで違う。

私は把握した上で選んだつもりだったが、住んでみると思うことはいろいろある。完璧はない。


次の記事では、断熱等級4級の現実を話す。この冬、私の家がどれくらい寒かったか。正直に書く。


ジョジョの奇妙な冒険風のtobecontinued

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