断っておくがこの記事は例のあの会社を叩くために書くのではない。持ち上げるためでもない。数字と事実を並べて、公平に分析する。
私はこの会社から家を買い、1年以上住んでいる当事者だ。その立場から書く。
会社概要——数字で見る正体
1997年の創業以来、主要事業である戸建事業では土地の仕入れから建築・販売まで製販一体の体制を整え、便利な立地かつ手の届きやすい価格の住まいを提供してきた。
売上高の推移を見れば、その成長速度が異常だとわかる。
| 年度 | 売上高 |
|---|---|
| 2017年9月期 | 3,046億円 |
| 2020年9月期 | 5,759億円 |
| 2023年9月期 | 1兆1,484億円 |
| 2025年9月期 | 1兆3,364億円 |
不動産業界売上高ランキングで三井不動産・三菱地所に次ぐ3位に位置し、初の売上高1兆円超えを達成した。平成9年創業の若い企業が、不動産業界の大手財閥企業トップ2社をにらむ位置にまで成長している。
約8年で売上が4倍以上になった。東証プライム上場企業の10年間売上増加率で、売上高7,000億円以上の企業を対象にした場合、上場以降の平均成長率28%は日本の全業界を見渡しても突出した数字だ。
ビジネスモデルの核心
例のあの会社が強い理由は単純だ。
土地の仕入れ力と、コストの徹底的な圧縮だ。
都心の狭小地・変形地・再建築困難地など、他のデベロッパーが敬遠するような土地を積極的に仕入れる。そこに建築コストを最小化した住宅を建て、立地の良さを武器に売る。
「都心の家は高いよね」「郊外じゃないと住めないよね」という不動産業界の常識を変えてきた。
このモデルは合理的だ。都心の立地を安く手に入れたい層に対して、明確な答えを出している。私もその一人だった。
「日本一細い柱」の真相
あの会社が使ってる柱は「日本一細い」。ネット上でよく見かける話だ。実際のところを整理する。
半分正解で半分は嘘だ。
私の家の意匠図にも記載があった通り、構造材はホワイトウッド集成材(105mm角)とレッドウッド集成材が使われている。
ホワイトウッドとは何か。
ホワイトウッドとは、ドイツトウヒなどのヨーロッパや北米産の白色の針葉樹の総称だ。コストが安く見た目がきれいで加工や施工がしやすいため、集成材に加工して日本の住宅の柱や梁に使用されることが多い。ただし湿気に弱いというデメリットがある。
105mm角は細いのか。
結論から言う。細くない。日本の木造住宅の標準サイズだ。
一般的な木造住宅の柱は105mm角が標準で、構造計算上も問題ない。「日本一細い柱」という表現はネット上の誇張であり、事実とは異なる。
ただし懸念点はある。
昨今、メーカーによっては、構造強度や断熱材の厚み確保のため、4寸角を標準とするメーカーも増えており、特に耐震等級3を目指す住宅では120mm角が採用されるケースが多い。
ホワイトウッドは水気に弱く耐候性や防蟻性はあまり期待できない。何十年も安心して住める家にしたい場合は他の材種を選ぶ方が良いという意見もある。ただしホワイトウッドは集成材に加工することで強度は増しており、強度の面では問題ない。湿気とシロアリへの注意が必要な点は否定できないが、適切な防腐防蟻処理と施工管理があれば一般的な住宅としての使用に問題はない。
要するに、雨漏りや結露を防ぎ、防蟻処理が適切に行われていれば問題ない。だが万が一の場合のリスクは、檜や杉の無垢材より高い。これが正直な評価だ。
営業スタイルの現実
「やばい」と言われる最大の理由がこれだ。
オープンハウスの営業に電話番号を教えると、「電話をかけないでくれ」と明言しても2回目・3回目と電話がかかってくるという声や、着拒しても別の番号からかかってくるという報告がある。
これは私も体験した。Webから物件資料を請求した瞬間から電話が来る。出なければ別の番号からかかってくる。着拒しても止まらない。SNSでは同様の体験談が無数に出てくる。
自転車に乗っていたら営業担当が急に前に飛び出してきて声をかけてきたという事例や、外が暗くなっても社員に路上で声をかけさせているという批判もある。
私も住宅街や繁華街で、大きな看板を背負った若手社員が路上営業しているのを何度か見かけた。
ようは営業熱心なのだ。悪いことではないが、過度な営業と捉えて迷惑だ、ブラックだと感じる人が一定数するのも無理ないことだとは思う。
実際に商談フェーズやある程度こちらの買う気を悟ると、とにかく嘘のない範囲で購買意欲をそそるポジティブな内容で畳みかけてくる。リスク面は特に触れてこないし、こちらから問うたところではぐらかされる。だがこれはこの会社に限った話ではなく、他の会社の不動産営業も、他の業種の営業でも同じはずだ。流されずに自分で判断するしかない。
一方で、契約後のサポートは手厚かった。ローン申し込みから本審査、入居まで、担当者から密なリマインドの連絡が来た。サポートに従ってタスクをこなしていればなんの問題もなくローン申し込みから入居までこなせる。
ただし、ローンのサポートについては例のあの会社の提携銀行(SBI住信ネット銀行)への申し込みのみだ。他の銀行のローンを選んでも問題はなく、質問にも答えてはくれるが、申し込み補助や一部代理での手続きなどの手厚いサポートは受けられない。
住宅性能の実態
私が実際に住んでいる立場で評価する。
耐震性能
耐震等級は標準で等級1。等級3へのアップグレードは追加費用が必要だ。ただし3階建ては構造計算が義務付けられており、2階建てより厳しい審査を経て建てられている。耐震性能の「数字」は低くても、計算の厳密さという点では2階建てより上だ。
断熱性能
断熱等級4。現行の最低基準だ。実際に住んでみると、冬は相応に寒い。この件については別の記事で詳しく書いた。新築戸建てに過度な期待を持っていたが、断熱に関しては期待を下回った。これは正直な感想だ。
施工品質
内覧会で20箇所の是正を指摘した。傷・汚れ・クロスの隙間・設備の傾きなど。新築でこの数は多いとは言えないが、少なくもない。別のAIに意匠図を見せたところ、設計上の問題はないという判断だった。施工の丁寧さは担当の職人次第という面がある。
アフターサポート・保証期間
住宅保証期間は10年間で、これは「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で定められた新築住宅への最低限の保証期間だ。
他の大手ハウスメーカーが20年・30年保証を打ち出している中で、10年は短い。これは購入前から知っていた事実だが、住み始めてから改めて気になっている点だ。10年を過ぎてから不具合が出た場合、全額自己負担になる。これは価格に対する最大のリスクかもしれない。
例のあの会社はどんな人に向くか
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 都心好立地をできるだけ安く手に入れたい | 断熱・気密性能にこだわりたい |
| 建売でいい・間取りにこだわらない | 耐震等級3が欲しい |
| 立地優先で性能は最低基準でいい | 長期保証を重視する |
| 営業の圧力に流されない判断力がある | 木材・施工品質にこだわる |
一言で言えばこうだ。
「都心の立地を、性能を妥協して買う会社」だ。
これは批判ではない。明確なコンセプトだ。そのコンセプトに合う人には合理的な選択肢になる。私がそうだった。
私の総合評価
| 項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 立地・価格 | ★★★★★ | これが存在理由。他に代えがたい強み |
| 営業スタイル | ★★☆☆☆ | 契約前はしつこい。契約後は手厚い |
| 施工品質 | ★★★☆☆ | 標準的。担当次第のばらつきあり |
| 断熱・気密 | ★★☆☆☆ | 等級4は正直物足りない |
| 耐震性 | ★★★☆☆ | 等級1だが3階建ては構造計算済み |
| 保証・サポート | ★★☆☆☆ | 10年保証は業界最低ライン |
| コストパフォーマンス | ★★★★☆ | 立地と価格のバランスは優秀 |
住み始めて1年。後悔はしていない。ただし、性能と保証に期待して買った人は失望するだろう。立地と価格に割り切って買った人には、十分な答えを出してくれる会社だ。
それだけのことだ。
次の記事では、住宅ローン控除の実体験を話す。


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